検査をしても腸に異常は見られないのに、腹痛、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す状態を過敏性腸症候群といいます。
ではなぜ、腸に異常が見られないのに、痛みや不快感、便通異常が起こるのでしょうか?
その原因として腸内細菌が関係していることがあります。
過敏性腸症候群の人は、そうでない人と比べて腸を拡張する刺激に対して敏感に反応します。
腸内細菌の働きとして、以下のものがあります。
- 腸の動きをコントロールして消化・吸収を促進
- 酵素によってコレステロール・尿素・アンモニアの代謝を促進・調節
- 免疫機能の促進
- エネルギーの源を作る
- 病気の感染防止
- 発がん物質の促進・抑制する
この、腸内細菌のバランスが崩れることによって悪玉菌が増え、腹痛や腹部の不快感といった知覚過敏が起きやすいということがわかってきたのです。
私たちの腸と脳は密接な関連があり、お互いに情報を伝え合って機能しています。
脳の中枢神経は、腸の運動や分泌、免疫機能、血液の流れなどを調節し、腸からも脳に情報が伝達されています。
私たちがストレスを感じると脳から腸にその情報が伝えられます。
ストレスの影響を受け、腸の動きが速くなりすぎると、下痢になります。
それとは反対に動きが十分でないと、便秘が起こります。
そして腸の運動を亢進させるだけでなく、腸内細菌のバランスにも影響があります。
ストレスにもさまざまなものがありますが、不安、緊張、周囲への過剰反応、抑うつなどがストレスとなって過敏性腸症候群を起こすケースがよく見られます。
なかには、ストレスがあることを自覚していないケースもあります。
腸内細菌が作る神経伝達物質
腸内環境が乱れていると、これらの神経伝達物質が健全に産生されず、思考力の低下やイライラを引き起こします。
早めに改善することで、仕事の効率化を図れます。
さらに体内のあらゆる細胞の老化が進んでしまい、見た目も若々しさがなくなります。
こうなると、外見・内面ともに影響が出てしまうのです。
スリムな人でも、便秘気味の人、食べ過ぎが心配な人、顔や背中に吹き出物がある人は、腸内環境が乱れている場合があります。
腸内フローラの乱れの主な原因は、腸内で悪玉菌が優位になってしまうことです。
であれば、善玉菌を増やす食事をすればいいのですが、一方で近年の研究では、腸内により多く存在し、善悪どちらにもなりうる日和見菌の働きが注目されています。
日和見菌を善玉菌の味方につけるには、日和見菌の大部分を占める酪酸菌を産生することが重要となります。
それにはヨーグルトの乳酸菌だけでは不十分で、野菜や果物、穀類に含まれる食物繊維の力も借りなければなりません。
善玉菌は加齢とともに減ってしまう傾向にあります。
しかし、酪酸菌が増えるような食事をすることで、腸内環境を正常に保つことは可能です。
悪玉菌は必要?
私たちの腸は、
①小腸→栄養の吸収
②大腸→水分の吸収や便の形成・排泄
このふたつからなります。
しかし腸は消化、吸収の為の管だけではありません。
神経細胞が張り巡らせ消化、吸収、排便を独自にコントロールしているため、「第二の脳」とも言われています。
また免疫機能の70%が腸に存在するので、腸内環境が悪化すると免疫力も低下、生活習慣病、アレルギー、ガン、老化のリスクが増大します。
この、腸内環境を左右するのは腸内細菌です。
その種類は300種類以上、数は100兆個、重さは1㎏になります。
腸内細菌は大きく3つに分けられます。
①善玉菌
②悪玉菌
③日和見菌
悪玉菌は身体にとって悪い影響を及ぼす細菌です。
腸内に悪玉菌が増えると便やガスを排出するための腸のぜん動という動きが悪くなって、便秘になりやすくなります。
この悪玉菌は、大腸菌やウェルシュ菌が代表的ですが、肉や魚を分解するので体にとっては必要な菌なのです。
悪玉とされているのは腐敗分解を行なうからです。
そして、インドールやスカトールなど、体に有害なガスを発生させます。
このインドールやスカトールは、おならとして出て行かないと血中に入り込み全身を巡ります。
このように、悪玉菌にも大切な働きがあるのです。
腸内で増えすぎると、悪い影響があるのでバランスが重要です。
便秘で腸の中に便が残ってしまうと、腸内に有害物質が溜っていき、それが血液に吸収されて全身にゆきわたると、肌の乾燥やにきび、吹き出物など肌トラブルが見られるようになります。
このように、なんらかの原因でバランスが崩れ悪玉菌が優勢になると腸内環境は悪化します。
腸内細菌叢の理想は「善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割」とされます。
このバランスは年齢、生活習慣、ストレス等により変化し、日和見菌は名前の通り優勢菌の味方となるので、悪玉菌が優勢にならない日頃の注意が必要です。
悪玉菌は食生活の乱れ、便秘、生活習慣病、感染、長期の抗生剤使用、ストレス、加齢で増加します。
悪玉菌は蛋白質、飽和脂肪酸を餌にしており腸内が酸性になると死滅します。
その為、悪玉菌を減らすには肉類等を減らし野菜を多く摂ることです。
そして、運動、睡眠、過度の飲酒、ストレス等に注意してビフィズス菌が腸内で酢酸等の有機酸を作る環境を維持、腸内を酸性に保つことが重要です。
悪玉菌が増えると
- ●免疫力の低下
- ⇒外部の敵から身を守るのは、リンパ球と言われる白血球の一種です。
- これは、小腸や大腸にもっとも多く、腸管免疫と呼ばれています。
- 腸内細菌のバランスがくずれると、腸管免疫の働きが低下し、以下のことが発症しやすくなります。
- ・口内炎
- ・カゼなどの感染症
- ・大腸がん
- ●生活習慣病
- ⇒腸内環境が悪いと、代謝がきちんとに行われなくなるので、太りやすくなります。
- そしてこれが、生活習慣病を発症させる原因にもなります。
●気分が下がる
⇒腸内細菌は、幸福感やポジティブな思考をつくるセロトニンやドーパミンの合成にも関係があります。
腸内環境が悪いと、これらをうまく合成できないので落ち込みやすくなります。
●肌荒れ
- ⇒血液中をめぐり、毒素が肌にダメージを与え、肌荒れやニキビの原因になります。
- ●便秘が治りにくい
- ⇒便秘が続くと腸内環境が悪化します。
- 腸内環境が悪化すると便秘が治りにくいという悪循環になります。
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