食べ物を消化する働き

胃の働き

私たちの身体は、活動するためのエネルギーを外から食べ物としてとり入れなければなりません。

この食べ物を消化・分解して、身体の中に「栄養」として吸収することで、生命活動を維持できています。

「胃」は、消化や吸収に働く身体の器官で、消化という重要な働きをしています。

そして、口から食道を通って入ってきた食べ物が蓄えられる袋のような形をした臓器となります。

胃の中が空っぽのときは細長くしぼみ、満腹のときには大きくふくらみます。

個人差はありますが、食べ物や飲み物を約1.5~2.5リットルも蓄えることが可能です。

胃の入口にあたるところを「噴門」、出口にあたるところを「幽門」と呼びます。

これらは、内容物の通過をコントロールしてくれています。

●噴門

→食道に逆流しないように、食べ物が入ると閉じます

●幽門

一気に流れ出ないように、少しづつ食べ物を「十二指腸」へ送り出します。

そして消化には、

①蠕動運動

②消化液

この二つが必要となります。

  • ①蠕動運動(ぜんどううんどう)

胃は、三層構造の「平滑筋」によって動いています。

この平滑筋は、心臓を除く内臓や血管の働きを維持しています。

そして、自律神経の支配を受けているので自分の意志で自由に動かすことができない「不随意筋」となっています。

「蠕動運動」とは、胃の周辺にある筋肉が収縮したりゆるんだりする運動のことです。

この運動よって生じたくびれが波のように徐々に伝わっていく運動のことです。

胃では、食べ物に胃酸やペプシンを混ぜ、おかゆ状にして十二指腸へ送る働きをしています。

食事を摂ってから胃が空っぽの状態になるまでは約4時間ほどかかると言われてます。

しかし、加齢などによって胃が弱ってくるとこの蠕動運動が低下してしまい、消化にも多く時間がかかります。

  • ②消化液

胃の中に食べ物が入ってくると、「胃液」という消化液が分泌されます。

この胃液は、食べ物を消化するだけではありません。

胃の中に食べ物が入ると、それと共にウイルスや細菌なども一緒に入ってきます。

この入ってきたウイルスや細菌の増殖を抑えたり、殺菌する働きもあります。

胃液の主な成分は3つあります。

①ペプシノーゲン

→たんぱく消化酵素「ペプシン」のもとになる物質で、塩酸によりペプシンとなる

②塩酸

→外来の細菌を強い酸性で殺す

③粘液

→消化をスムーズにし、胃の壁を保護

「胃液」には、pH1~2の強力な胃酸や、消化酵素などが含まれています。

しかし、この胃液は、常に分泌され続けているわけではありません。

胃の形は皆同じなのか?

実は胃の形は、人によって違います。

  • 鉤状胃(こうじょうい)

釣り針のような形をし、日本人に多いと言われていいます。

胃の中央部分が出口(幽門)よりも低くなるため、食べたものが溜まりやすくなります。

比較的に、胃潰瘍が多く見られます。

  • 牛角胃(ぎゅうかくい)

消化された食べものが、あまり負担なく十二指腸に流れます。

そのため、胃もたれが起こりにくいメリットがありますが、満腹を感じにくい(食べたものが腸へすぐ流れるため)デメリットもあります。

この胃の形は、太りぎみで内臓脂肪の多い人に多く見られ、「十二指腸潰瘍」が多い傾向にあります。

  • 瀑状胃(ばくじょうい)

日本人の10人中2~3人の割合で存在します。

この「瀑」という字は、滝など水が高いところから落ちて飛び散る意味で使われています。

胃の形が分かりやすく言うと、胃の入り口が低い位置にあり、赤ん坊がお腹の中で膝を抱えて丸まっているような状態に似ています。

食べ物が胃の中に溜まりやすいうえ、十二指腸まで流れにくいため消化がとてもゆっくりとなります。

その結果、胃の上の部分に胃酸が溜まり、炎症を起こしてしまうことが多いとされています。