パニック障害と脳のメカニズム

パニック時にみられる神経伝達物質

まず、パニックの発作は症状として、以下のことが起こります。

・心臓の鼓動が激しくなる

・息苦しさがある

・めまいが起こり立っていられない

・冷や汗や顔のほてり

・手足が震える

この発作は、何度も繰り返して起こってしまいます。

発作がないときでも、また恐ろしい発作が起こるのではないかと強い不安感に襲われ、常におびえて日常生活を送ることになります。

では、なぜこのような発作が起こるのでしょうか?

これは、脳の警報装置が誤作動を起こし、それに感応して神経伝達物質が必要以上に分泌されます。

そして、危険な状態でもないのにパニック発作が起きてしまうことが関係しているといわれます。

・「このまま死んでしまうのではないか」

・「誰もたすけてくれない」

・「気が変になるのではないか」

と思い込んでしまいます。

その結果、誤って危険を察知してしまい、恐怖心を呼び起こします。

そして、大脳辺縁系の扁桃体から指令が出て、自律神経の中枢に伝わり、さらにここでノルアドレナリンが分泌されて、血圧を高め、心拍数を上げて、めまいや動悸なども起こします。

 

・アドレナリン
⇒血圧や心拍数を高め、血糖値を上昇させる

 交感神経に働いて、興奮や緊張を高める

・ノルアドレナリン
⇒不安や恐怖を感じたときに筋肉に血液を送り込んで心拍数を速くしたり、血圧を上昇させる

 減少で意欲や集中力が低下

・セロトニン
⇒不安を抑え平常心を保つように働く

 減少するとイライラや不安、睡眠障害などを引き起こす

 

パニック障害の発作は、ストレスから影響をうけて起こりやすくなると言われています。

 

ストレスは誰にでもかかってくるものであり、身近な存在ですが、自覚しづらいため、自分には関係がないと思いがちです

例えば、

  • 結婚
  • 昇進
  • 妊娠や出産

これらの非常に自分にとって嬉しいようなイベントについても、心理的なストレスとなると言われています。

これとは逆に、

  • 両親や配偶者との関係
  • 仕事上の対人関係やプレッシャー
  • 経済的な問題

これらは、心理的なストレスになることはおわかりいただけると思います。

では、なぜ人はネガティブなイベントだけでなく、ポジティブなイベントに対してもストレスとして感じてしまうのでしょうか?

実はこれに共通しているのは、環境の変化というところなのです。

例えば結婚すると、住む場所が変わり、他人と一緒に住むことになります。

妊娠や出産によっては身体的な変化や痛み、また出産後には家族が一人増えるため、新しい生活環境下でなんとか毎日を過ごしていかなければなりません。

自分が昇進した場合だと、仕事内容のほかに責任の範囲が広がり、仕事をしていない休日の時間帯においても仕事のことを考えてしまうかもしれません。

このように、自分の周りの環境が変化し、それに慣れて、適応していかなくてはいけません。

そのほかにも、

  • 過労
  • 病気
  • 生活リズムの乱れ
  • アルコールの飲みすぎ

これらの身体的なストレスからも影響を受けます。

これらのストレスに対して、私たちは不安感情が生じます。

 

予期不安

パニック障害の発作がコントロール不能であり、いつ起こるのかわからないという状態になると、人は不安になります。

このような不安を「予期不安」といい、パニック障害には必ず生じます。

予期不安は、

・電車に乗ったら発作がおきるかもしれない

・部屋から出ると発作が起きるかもしれない

と過剰にアンテナを張り巡らせている状態になっています。

そうすると、軽い身体の変化に対して、発作の前兆なのではないかと過剰に反応してしまうことになります。

そうすることによって、余計に発作はより起きやすくなり、発作が繰り返し起きやすい状態になっていると言えます。

予期不安が高じてくると、万が一パニックの発作が起きたらすぐに逃げ出せない場所や、助けを求められない状況を恐れ、強く避けるようになります。

例えば、

・通勤の電車内で発作が起きたら逃げられない

・もし、買いもの中になって倒れたらどうしよう

などを考えてしまい、ひとりでは出かけられないようになってしまいます。

すると、家に引きこもることが多くなります。

これを広場恐怖といいます。

パニック障害の方のほとんどが多かれ少なかれ体験します。

これがあると、家事ができなくなったり、仕事を辞めなければならない状況になる場合もあります。

すると、日常生活に支障が出てしまい、何事にも関心や意欲が低下し、うつ状態に陥ることもあります。

 

ページの製作者

阿倍野カイロプラクティック