起立性調節障害は基本的にからだの病気ですが、生活習慣や心理的な要因も症状を悪化させる原因になります。子どもは実際に体調の不調を感じており、原因がわからず不安になることでますます症状を強く感じます。
また、夕方から夜は元気が出てくるため夜更かしになりやすく、これが朝起きられない状態を悪化させ、不登校などの原因となることもあります。
人は立ち上がると血液が足の方に貯まりやすくなり、頭の方は血圧が低くなります。
これを防ぐために自律神経が下半身の血管を収縮させたり心臓の動き良くしたりして、脳や全身の血圧や血流を維持します。
ところが起立性調節障害では、この調整がうまく働かず、立ちくらみやふらつきが起こってきます。
朝起床しても自律神経がうまく切り替わらず、頭痛が起きてしまいます。
急速に体が大きくなる成長期の子どもは自律神経の日内リズムが乱れやすく、起立性調節障害の頻度は5~10%ととても高いものです。
起立性調節障害の子どもは朝起きても活動状態にならず頭痛や腹痛、ふらつき、立ちくらみなどの症状があり、疲れやすくなっています。
そして、夜になっても就寝状態に切り替わらず深夜になっても元気だったり寝付きが悪かったりします。
ご家族の方は、実際に本人の体調が悪いということを理解した上で、規則正しい生活ができるよう見守っていく必要があります。
まず、大人と同じように睡眠不足や慢性的な疲労は頭痛の原因となります。
日本人は世界で一番睡眠が短い生活をしている国民で、それは子どもたちも同じです。
毎日寝るのは12時過ぎ、朝は6時過ぎには起きるというような睡眠不足の子も少なくありません。
それで十分だろうと言われる親御さんもいるかも知れませんが、身体の発達期に毎日7時間未満の睡眠はあきらかに不足です。
・朝起こさなくても起きることができるか?
・昼間授業中に眠い時間があるか?
・週末は寝てばかりいないか?
これらの点が目安になります。
ご家族も、頭痛や身体症状がある子はまず日々の休息がきちんととれているかを考えてください。
思春期の頭痛
思春期と言えば、気持ちの上ではいろいろ悩みを抱えることが あっても、身体には人生の中で一番、健康な時期という思いがあります。
実際に実感できる人とそうでない人もいると思います。
ところが思春期を迎える前後から、特別な病気でもないのに頭痛に悩まされる人たちが増えてきます。
日常生活に困る程なのに、 病院に行かず我慢している人も多いようです。
日常生活での注意点として、ゆっくりと立ち上がるようにしてください。
血圧の急な変化は身体に負担がかかってしまいます。
日中は(学校へ行けていない場合も)身体を起こしておくようにしてください。
寝ている姿勢ばかりでいると、血圧の変化に身体がついていかなくなります。
そして、周りの人ができるサポートは、朝の身体のだるさや立ちくらみなどの症状を、ただの「怠け癖」と決めつけてしまわないことが重要です。
学校でも、朝起きられず不登校などの状況になってしまっていても、焦らずに見守ることが重要です。
この症状を通して家族や学校の友人との関係が悪くなってしまわないようにサポートしてあげることが必要です。
根性が足りないなどと叱責したり、無理矢理起こすなどの対処をすると症状は悪化してしまいます。
起立性調節障害は体質や自律神経による身体の疾患であり、精神論だけで解決できるものではないと周囲が理解してあげることが重要です。
というように頭痛と同様、起立性調節障害は人から分かりにくく、理解されにくいです。
だからこそ、こんな症状があったときは周りがサポートしてあげることで解決できる道ができます。
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