起立性調節障害とストレス

起立性調節障害とは、自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。

立ち上がった時に血圧が低下したり、心拍数が上がり過ぎたり、調節に時間がかかりすぎたりします。

見た目は何となく元気がない様子ですが、発熱はほとんど見られず、症状は午前中に強く、午後には軽減するのが特徴です。

夕方から夜になると症状が緩和し、体調は回復することがあり、すると健康な子どもと同じように会話をしたり、テレビを見たり、スマートフォンを操作したりして楽しむ様子が見られます。

ところが、また朝になると体調が優れず、学校を休みがちになるのです。

このような状況から、起立性調節障害の子どもは、家族や先生から、甘えやさぼっている、がんばりが足りない、などいわれなき非難を受けことがあります。

学校に行きたくないのではありません。

病気のため、行きたいけど行けないという状態をぜひ周りの人たちは理解してあげてください

 

そして、この疾患は自律神経疾患なので身体的要素以外に、精神的、環境的要素も関わって起こると考えられています。

身体的要因のひとつとして、自律神経系が不安定になる、小学校高学年から中学生に多くみられます。

なぜならこの時期は、体の様々な機能が大人へと変化していく時期です。

この変化は自律神経系にも起こるため、循環器系の調節がうまくいかなくなることがあります。

また、真面目で気を遣うタイプの子どもが起立性調節障害になりやすいと言われていますが、これはストレスをため込みやすいという精神的、環境的要素に関連すると考えられます。

 

注意しなければいけないのは、あくまでも体の病気であり、本人が頑張ればどうにかなるということではありません。

そもそもストレスとは?

ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。

そして、以下のように分けることができます。

 

●肉体的なストレス

⇒病気、けが、不規則な生活、睡眠不足、疲労

●精神的なストレス

⇒家族などの病気や死、失恋、解雇、倒産、挫折

●物理的なストレス

⇒温熱、寒冷、気圧などの気象の変化

●人間関係によるストレス

⇒職場や家族・親戚・近所・友人のトラブル

●環境的なストレス

⇒騒音、照明、たばこなどの空気汚染、振動

 

このように、日常の中で起こる様々な変化や刺激が、ストレスの原因になってしまいます。

ストレスサイン

ストレスは大人だけのものではありません。

実は子供にとってもストレスは大きな問題です。

しかも子供はストレスを感じていると自覚しにくいため、ご家族がそれを早期に発見してあげる必要があります。

  • 身体からのストレスサイン

風邪や病気ではないのに子どもの体調が優れない状態が続くようであれば、ストレスから来る体調不良も考慮してみてください。

体のストレスサインには、腹痛、食欲不振、便秘、下痢、寝つきの悪さ、寝起きの悪さなどがあります。

その中でも多いのが、腹痛です。

大人でも緊張した場面などでお腹が痛くなる人がいますが、子供の場合、小さなストレスが原因で腹痛が起きることもあります。

さらに疲れやストレスが皮膚症状として現れることもあります。

アトピー性の皮膚炎の場合はそれがひどくなったり、アトピーでない子もじんましんやしっしんが出るという症状が出ることも珍しくありません。

  • 心からのストレスサイン

心のストレスサインは体のストレスサインとは違い一見分かりにくく、見逃してしまうことがあります。

これまでと違う言動が目立つようになったら要注意です。

・おとなしい性格だったのに乱暴な行動や言動が増える

・最近何をしても拒否ばかりする

・はしゃいでいたかと思えば急に泣き出す

自分で自分の感情をコントロールすることができず、ストレスをどうにか表に出そうとしている状態です。

注意深く子どもと向き合うことで、このようなサインを見逃さないようにしましょう。

  • 行動によるストレスサイン

ストレスサインは思わぬ形で表れることもあります。たとえば、反抗的になった、暴力的になったという場合、それがストレスサインであることも考えられます。

同様に口数が少なくなる、ひどく甘えるといったいつもと違う行動を取った場合にはストレスによる反応を考えるとよいかもしれません。

子どものストレス

日常生活では、さまざまなストレスに直面します。それは大人だけでなく子供も同じです。

ストレスへの対処がうまくいかないと、自律神経のバランスが乱れ、さまざまな不調が現れることもあります。

自律神経を乱れが起こる原因として、主に2つあります。

①ささいな出来事や人間関係の問題に強く反応してしまい、ストレスを大きく膨らませる

②自分の目標達成や周囲からの期待に応えようと、頑張りすぎてしまい自分はストレスに強いと思い込んでいる

 

もちろん子どもは、成長するなかで、環境のな変化があり、たくさんの人と関わるようになります。

そして、学校生活で起こり得るストレスがあります。

  • 友だちとの関係

クラスが変わると、仲の良い友だちと離れてしうこともあるでしょう。

そして、また仲良しの友だちを作らなくてはならないというストレスが発生します。

クラスの中には、友だちがたくさんいて人見知りしていないような子もいます。

そういう友だちと自分を比べてしまい、自分は友だちづくりが苦手だと思い込んでしまう落ち込んでしまう場合もあります。

  • いじめ

いじめられていると感じていれば、とてもつらいストレスとなります。

たとえ加害者の方に大した悪気がなかったとしても、やられた方がいじめと感じることが多くあります。

言われた方、やられた方がいやな気持ちになるようなことはしないと教え続けることが必要です。

先生が見ていないところで、巧妙ないじめを受けている可能性がないわけではありません。

  • 勉強

子どもの中には、勉強についていけないことでストレスを感じる場合もあります。

そして勉強についていけないと、授業中を受けることが苦痛になります。

体育の授業がイヤになると仮病をうったえたり、本当にお腹が痛くなるなどの症状が出てしまうこともあります。

 

これらのことで、不安や悩みを抱えたりストレスを感じたりしてしまうこともあると思います

ストレスの発散

子供のストレスに対して、まずご家族が行うべきことはストレスの原因を見つけることです。

ストレスというと、学校など外の世界に原因があると考えてしまいがちです。

しかし、実際は家庭内での出来事が原因となっていることも多いのです。

たとえば夫婦喧嘩が多い、新しく生まれた弟や妹への嫉妬などが原因となっていることもあります。

 

子供のストレス解消の方法として、身体を動かすのはおすすめの方法です。

身体を動かしている間は、脳が運動に集中するため、余計なことや嫌なことを考える余裕がなくなります。

特に外で身体を動かすと自然に接することにもなり、ストレス解消により効果的です。

ただし、運動が苦手な子や、運動嫌いの子の場合、無理に運動させるとそれがストレスになってしまうため注意しましょう。

そして、子供にとってなによりのストレスの解消は、好きなことをさせてあげることです。

興味があることや友達と遊ぶことなど、その子が楽しいと感じることができればネガティブな感情になりにくくなるのに役立ちます。

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